小説3
□PURE CHERRY エピローグ 上
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・エピローグ・
−−−−−彼と桜の木の前で、結ばれた後…。
本当の意味で、ようやく恋人の関係になれた僕達は、彼の家に場所を移動して・・・。
そして、そこで甘い夜を過ごし、一夜が明けた。
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「キラ・・・」
誰かが、僕を呼ぶ声が聞こえる。
「んっ・・・」
「キラ、キラ」
まだ眠りの中に入っている僕に、何度も甘い呼びかけが続いた。
「う・・・」
その心地よい音に反応して、少しだけ意識が覚醒する。
「そろそろ、起きろ。朝だぞ?」
「まだ、眠い・・・」
目覚めを催促する甘い声。
でも、とろとろと遅い来る眠気に逆らえずに、もう一度夢の中へ旅立とうとする。
「そうは言っても、もう朝なんだから起きないと」
朝・・・。
そういえば、視界が何だか眩しいような気がする。
自分の中ではまだ夜中のつもりだったのだけど・・・。
いつのまに夜が明けたのだろうと、そっと瞼を動かした。
「おはよう、キラ」
「ん、あ・・・」
目を開けば、そこに輝くような秀麗な顔。
にっこりと笑顔で朝の挨拶を告げてくるのは、恋人のアスラン。
優しいまなざしで、僕を見下ろしている彼は何故か全裸で・・・。
目の前にある、端正な身体に顔を赤く染めた。
(わぁ・・・、な・・・何でアスランが僕の隣で寝ているんだろう?しかも、どうして何も着てないんだよっ・・・)
いくら今が夏だって言っても全裸では寒いだろうに・・・。
何だか彼の身体を直視できなくて、慌てて顔を背けた。
そうしてよく見れば、自分も何も身に付けていないことに気づく。
僕も、アスランも何も着てない・・・。
二人揃って、同じベットの中にいる・・・。
(この状況って・・・・・・)
起きたばかりで覚醒し切れない頭で、ぐるぐる考える。
しかも、ここは自分の家じゃなくてアスランの家だ。
ということは、僕は昨日・・・・・・。
「キラ、身体の方は大丈夫か?」
「え?」
身体が大丈夫って、何が?
「俺、最後の方は理性が利かなかったし・・・。大分、無理させたんじゃないかって」
理性?無理?・・・ってどういう意味だろうと、クエスチョンマークを浮かべる。
そうして、いまだ状況を把握できていない僕に、昨日の記憶が脳裏を掠めた。
そうか、僕は昨日・・・
アスランと桜の木の前で結ばれて、それから・・・。
昨日行われた、甘い営みがありありと蘇ってきた。
「う・・・痛っ・・・」
起き上がろうとした途端にお腹の辺りが、激しく痛んだ。
今まで感じたことの無い痛みを感じて、ベットの中へ逆戻りしてしまう。
「急に動くからだぞ?大丈夫か?」
「あ、うん・・・へ、平気」
崩れた身体を、柔らかく起こしてもらいながら声を紡ぐ。
昨日、酷使した身体は自分の思っている以上に、ダメージを喰らっているようだった。
まぁ、初めてだった上に数え切れないくらいに交わったのだから、多少痛くなってもしょうがないかも・・・だけど。
「本当に大丈夫か?顔色が悪い・・・」
心配そうに僕の顔を覗き込んでくるアスラン。
その顔は、悪いことをした子供みたいに不安げだった。
「すまない。ずいぶん、無理させたな」
「えと・・・僕なら、だいじょうぶだよ」
確かに痛みは感じるけど・・・。
動けないほどのものでもなさそうだし・・・。
今みたいに、突然大きく動かなければ大丈夫だと思う。
何より、アスランの悲しそうな顔を見たくなくて、無理やり笑顔を作った。
そうすれば、彼も安心してくれたのか淡い微笑を向けてくれる。
「よかった、お前に無理させたんじゃないかって心配だった」
「アスラン・・・」
「クス・・・、寝癖、付いてるぞ」
「あ、ごめん。ありがと・・・」
優しい動作で、乱れた髪を戻される。
あまりに自然なそれに、どきどきと胸が高鳴った。