小説 2
□DEEP BLUE 終幕(1-2)
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+・終幕・ Side KIRA+
―――ずっと、想っていたのだ。
アスランが自分だけのモノになればいいのにって。
僕は闇の中、むくりと起き上がった。
隣には情事で疲れきったアスランが眠っている。
ぐっすりと眠っているようだった。
まあ、先程あんなに激しい行為をしたんだから当然か。
普通、受ける側よりも攻める側のほうが体力を使うものだ。
アスランは、初めてだったみたいだから、体力を使い切ってしまったんだろう。
彼を起さないように気を使いながら濃紺の髪を愛しげに撫ぜてやる。
小さいころからこの髪に触るのが好きだった。
こうして彼の髪に触れるのは、僕だけの特権だ。
「くすっ・・・。でもまさか、こんなに上手くいくなんてね」
無邪気にすら感じさせる笑みを浮かべ楽しげに呟く。
ここまで僕の計画どおりに進むなんて・・・正直、想っていなかっただけに喜びも大きい。
そう、アスランは上手く僕を手に入れた気になっているけど本当はそうじゃない。
彼がそうせざるをえない状況を作り上げ、思い通りに動くように操作していたのだ。
アスランに分からないように、何も知らない純粋なキラを装って・・・。
僕はずっとアスランが欲しかった。
彼が僕を欲するよりも強く想っていたんだ。
だけどアスランは、僕の双子の姉であるカガリが好きなようだった。
二人が仲睦まじくしている姿を見て、衝撃を受けたことは記憶に新しい。
カガリの方もどうやら満更でも無い様子で、誰から見ても二人は完璧なカップルに写った。
明るく太陽のように眩しいカガリ。
彼女にこそ彼の隣には、ふさわしい。
そう思って諦めようと考えたこともあった。
けれど、そんなの無理で。
想いは募るばかりで。
どうすれば完全に彼が自分の物になるのかと、そればかりを考えて、考えて・・・。
思いついたのが、アスランの心を自分だけに依存させ、僕しか見えなくするという計画だった。