小説 2
□DEEP BLUE 6章 (1-6)
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・6・成就
――キラと俺の二人だけの世界。
誰にも邪魔されず、その美しいアメジストに俺だけが写る未来をどれだけ夢見ていたことだろう。
その望みがこんなに早く現実になるとは思ってなかった。
俺はラクスが訪ねてきた次の日に、素早く行動を開始した。事は急を要する。
彼女が動かないうちにキラを手の届かない場所へ連れていかなければ。
そう思い、俺はキラを連れて今まで住んでいたプラントを後にした。誰にも悟られぬように、闇にまぎれてひっそりと・・・。
誰にも告げずに出てきたので、今ごろは大騒ぎになっているだろう。まあ、俺の知った事ではないが。
父の持ち物だったプラント。
父も利用価値のあるモノを残してくれたものだ。
そのおかげでキラを俺の元へ縛り付けておくことができる。
このコロニーから出るには、唯一のスペースポートを通らなければならず、またそこに入るには身分書が必要になる。
だから仮に、キラが逃げようとしてらすぐ分かる。
まあ、逃げ出せたらの話だが。
新しく、住む屋敷は以前よりも広くてセキュリティも万全だ。
無理に外に出ようとすれば警報がなるから俺に知られず逃げ出す事は不可能に近いだろう。
もちろん、このプラントだって俺たち以外の住人はいるし当然町もある。
だが、一つ一つの集落は距離が離れているし、父が所有していたコロニーだけあって住む住人も全てザラ家の使用人だ。
父に代わり当主になった俺の邪魔をしようなどという輩はいない。
このプラントは、いざという時の為の父の隠れ家だった。
なので外部との通信手段が著しく制限されている。
つまり一部を除いて、電話も通信も何もできないということだ。
キラから一切の外界との接触方法を取り上げた。
これでもう、誰かに嫉妬したり奪われるのではないかと心配する事もない。
まあ、俺に全てを明渡しているキラにはそんな心配無用だが。
―――キラのココロはもう俺の手中にある。
・・あとは、その身体が欲しい。
邪魔がいなくなり、キラと二人きりという環境は、今まで押さえていた理性を食い破ろうとしていた。
++
「えっ・・・。どうしてアスラン?」
―――時は深夜を回り、後は寝るだけという時間になって、キラは泣きそうに訴えた。
パジャマの端をぎゅっと握り、可愛く俺に疑問を投げかける。
「なんで一緒に寝てくれないの?」