小説 1

□LIFE GOES ON 一章(1‐5)
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 ・1・


 夕方、ミリアリアの仲介の元に音信不通になっていた幼馴染と再会した。

 一度、プラントに戻るといって旅立った彼。

旅立つ前に、何故プラントへ行くのと問うた僕に彼は、『自分の進むべき道を見据えるためだ』と答えた。

あのときの、アスランは微妙な立場で、どうすればいいか分からないと苦悩していたから、彼がプラントにいって何かを掴んでくるならと、見送ったのを覚えている。

それからの彼の動向は、僕らもオーブを出てしまったのも合ってずっと分からなかった。

でも聡明なアスランのことだ、僕が知らない間もちゃんと自分の道を切り開いているのだと思っていた。

 そして紆余曲折を経て、やっと会えたと思ったら彼は再びザフトに、軍に戻ったと言って…。

せっかく再会できたのに、心が遠すぎてすれ違う。

 お互いの主張が噛み合わなくて、何も解決せぬまま僕達に背を向けて去って行ったアスラン。


 彼が、僕達に背を向ける瞬間に…。


“日付が変わる時刻に、この場所で”


そう唇が動いた気がした。

時間にしてみれば、ほんのコンマの出来事。

コーディネーターの優れた動体視力がなければ分からないほど速く呟かれた言葉。

その場にいたカガリやミリアリアはナチュラルだったから、例え彼女たちがどんなに視力がよかろうと彼のメッセージは読み取れなかったに違いない。


僕だけに伝える為に、呟かれた短い言葉。

 本当なら無視してもいいことなのに、AAに戻った後もずっとそれが耳にこびりついて離れなかった。










深夜・0時。

日付が今日から、昨日へと変わる時刻だ。

彼が示した待ち合わせの時刻まで、あと少しもない。
さて、どうしようか。

夕方別れた後から今まで、会いに行くか否かで悩んでいたけども…。

結局、アスランに会いに行く事に決めて、そっと艦から抜け出した。

外に出れば、ひやっとした夜気が僕の体を包む。


誰かに見つからないように、気を配りながらそうっと歩き出した。

 何故、僕はこんなことをしているのだろうか。

 こんな夜中に、一人艦を抜け出して。

 しかも、その理由が敵軍の兵士と密談するためなんて、冗談でも笑えない。

もし僕に何かあれば、AAは危険に陥るかもしれないのに。

 色々なリスクを伴ってまで、こんなことをしている理由は何か。

考えてみれば、単純なことなのかもしれない。



もう一度、アスランに会いたい。ただそれだけのことなのかも知れなかった。
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