小説 1
□Puple Olion エピローグ
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・エピローグ・
プラントにあるレイの家。
その中で俺は、今となっては遠くなってしまった大事な人に思いを馳せていた。
「キラさん、大丈夫かな…」
アスランさんに喝を入れて、キラさんのところに向かわせたのはいいけれど…やはり心配なものは心配で。
彼らは、ちゃんとお互いの気持ちを確かめられたのだろうか。
「アスランさんが、一緒なんだ。きっと上手くやっているさ」
「だから余計、不安なんだよ。アスランさんって、意外と甲斐性がないし、キレたら何するか分からないところあるだろ?俺の大事なキラさんが、泣かされてないかって、夜も眠れない…」
「俺の大事な、キラさん?」
相棒の口調が、急に凍った。
一体どうしたんだろう。
俺、何かまずいことでも言ったかな。
「…そうか、大事なキラさん、ね。」
珍しく、レイがふてくされている。
「レイ?」
「シンは、俺の手を取ってくれたと思っていたが…違ったんだな」
どういう意味だろう?
すぐに、汲み取ることができなくて自分の言った台詞を思い出してみた。
「うわっ、違う!違うんだ、レイ。そういう意味でいったんじゃないって。俺は、その家族みたいに大事っていいたかったんだよっ。別にキラさんが、その…恋愛の意味で好きとかそういうんじゃなくてだな」
なんて言ったらいいんだ?
こんな時、自分の口下手が恨めしい。
「えーと…だからな…」
誤解されたままじゃ何となく嫌で、しどろもどろ色々弁解する俺そこに、ふっと苦笑が寄越された。
「分かっているさ、シンに二股なんて器用な真似ができな
いことくらい」
どうやら、からかわれていたらしい。ポンポンと、頭を撫でられてむっとした。
「子供扱いするなよな!俺だって、浮気の一つや二つ!」
「できないだろう?」
確信を持った言い方に、なんとなく悔しくなる。
「うぅ…。確かにできない…けど」
「だろう?」
「なんか、悔しい」
同じ年なのに大人びた事をいう相棒に、軽いジェラシーを覚える。
「お前は、まだまだ子供だからな」
「何だよ、それ。」
「ああ、そういえばルナマリア達にお前の事を話したら、泣きながら激怒していたぞ。次ぎ会ったらただじゃおかない、だそうだ」
「げ・・・」
そういえば、彼らには一年間何も連絡しないでいたんだっけ…。
「覚悟しておくんだな。特にルナマリアとメイリンは、かなりご立腹だったぞ」
「・・・マジかよ。ルナのヤツ、キレたらなにするか分からないからな。暴れるだけじゃ、すまないだろうし。考えるだけで恐ろしい・・・。俺、帰るの止めたくなってきた・・・。」
ルナマリアは、普段なら明るくて気さくでいい奴なのに、一度キレたら手の付けようがない。
女特有のヒステリーと、本当にお前は女性なのかと疑うような馬鹿力で、密かに軍の中では無敵と恐れられていた。
これから待ち受けるだろう地獄を思い浮かべて気が遠くなる。
「自業自得だ。諦めろ」
「人事だと思って。もう、俺キラさんのとこにもう一回戻りたいよ。」
キラさんの持つ、柔らかい雰囲気を思い出して本気で戻りたくなってしまった。
「決めた、やっぱり皆のとこに帰るのは延期する。ほとぼりが冷めるまでキラさんの家に戻る!」
それがいい。
うん、そうしようと決意した。
思い立ったら吉日とばかりに、持っていた携帯電話を取り出してキラさんに今から行きますとメールを送った。
これで、ばっちりだと意気込んでいると…。
「止めておけ」