小説3

□PURE CHERRY 四章 【中篇】
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「アスランなら…いいよ」


「キラ・・・お前…」


見詰め合う瞳と瞳。

言葉よりも視線で強く相手を求める。

まるで、引力のように自然にお互いを引き付けあって
距離がなくなっていくようだった。


「キラ、好きだ。本当に、どういっていいか分からないくらい…お前が好きなんだ」


「アスラン…。僕も…君が…」


好き…と続く言葉は、最後まで続けさせて貰えなかった。

彼の唇が、優しく僕のそれを塞いだから。


「んっ…」


甘い唇に、酔わされていく。

ふいにシャツのボタンを外された。


そうして、彼の手が衣服の中へ侵入してくる。


「あっ・・・」


肌に直接触れる彼の繊細な指。

知らずに身体が、期待で震えるのが分かった。

 その一方で同時に込み上げる、行為に対する純粋な恐怖感。


「……ぁ…」


 ぞくりと、嫌な冷や汗が背を伝う。

 意識せぬまま、彼の腕から逃れようとする自分がいた。


「嫌か…?嫌ならやめる。」


「いやじゃ…ない」


「嘘付け、まだ苦しそうな顔してる…。やっぱり、まだ怖い?」


「正直言うと…まだ」


「大丈夫。怖いのは、俺も一緒だから」


「―――えっ…」


アスランも怖い?それって…どういう・・・。


そこで、僕を支えてくれている彼の腕に変化が起こっているのに気が付いた。

ちいさく小刻みにゆれている、彼の腕。



(アスランの手が震えている…?)


あんなに勇敢でいつも自身に溢れているアスランが?


―――そうか、怖いのは彼も同じだったんだ。 


そう思ったら、随分と気持ちが楽になった。


「僕なら、大丈夫だから…だから、やめないで。」


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