TREASURE
□人外(鬼+悪魔+猫)篇 完結編
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なんや、このクソ忙しい時に、そんなに例の話が知りたいんか?
会長と寮長さんと、まとめて啓太にノサれたおまえは聞かんほうがええと思うねんけどな。
食券10枚も寄越されたら、しゃあない。
よっしゃ、話したる。
けど、この話は会長や寮長さんには内緒やで?
なんでや?って、あの二人が聞いたら学園の自治も完璧止まってしまうやろ。 ホンマもう勘弁してほしいわ。
寮長さんの点呼は夕方6時になるかもしれへんし、岩井さんは面倒見て貰えんと餓死してまうで?
会長も今かて腑抜けやのに、こんな話知ったら廃人の一丁上がりや。
会長廃人で判子つかんかったら部活予算かて一円も下りんやろ?
なんや、前置き長い?、おまえがいらんこと聞くからやないかい。
この前の日曜、夜8時くらいやったな。
俺の携帯が鳴って副会長からデリバ依頼やった。 その中身がなぁ、そらもうけったいやった。
寮の食堂に500_ペットボトルの緑茶70本、激辛鬼煎餅70枚、塩大福70個、紀州産の超高級梅干し70個、ナルハヤで持って来い言われたんや。
煎餅は一枚ずつ袋に入ったナントカ総本舗いう高級老舗店のや。
塩大福も都内の名物店のやったし梅干しは一個何百円もするヤツやで。
緑茶は伊○園の濃いヤツにしろ言われた。
・・・なぁ?おかしいやろ?
その時間やったら寮食はじき店仕舞いや。
そんな時間から、そないな大量のブツ集めて何するんやと思うたけどな、あのお人に余計な詮索せぇへんのが身のためや。
だいたい無理やから断ろう思うた。
短時間でそれだけのブツ買い揃えて運ぶなんて魔法でも使わんと不可能や。
そしたら副会長は学生会ご用達の24時間サービスのケータリング業者の連絡先教えてくれたんや。
そこに頼めばブツは全部揃うし、即効で学園寮までデリバってくれるんやて。 お勘定はBL学園・学生会様宛てで請求書を貰え言われた。
そこ、カタギとも思えん凄い商売しとるやないかい、それを知ってはる副会長も恐いお人や思うた。
けど、ここで俺はピンときたんや。
これは何かオモロイこと始まるんとちゃうやろか? 俊ちゃんの勘やで?舐めたらアカン。
俺は業者に電話して、いつ配達が届いてもいいように寮のロビーで待機しようとしたん。
すると今度は七条からの依頼やで。
副会長の依頼の直後に七条からも依頼が入るなんて偶然とも思えん何やらキナ臭い予感がしてきよった。
けど本格的にヤバいと確信したのは七条の依頼を聞いてからや。
聞いてたまげたわ。 今夜、銀座の高級老舗洋菓子屋からマドレーヌとプリン、くまちゃんクッキー小袋入り、全部70個ずつ学生寮に届くことになっとるから受け取りして食堂に運んでくれ言われた。
そこは西園寺の実家が贔屓にしとる店で、会計部もご用達やと。
お代は案の定、BL学園・会計部様宛ての請求書貰えて。
なぁ?ブツの嗜好は正反対やけど、タイミング、納品場所と発注数、精算の仕方と、こうまでカブっとったら、あの二人が何やら張り合ってロクでもないことになるんやないかと想像ついてくるやんか。
ブツが届いて寮食に行ったらな、そこは化け物屋敷やった。
食堂終わった夜9時やいうのに仰山、人がおって、どいつも皆、ゾンビのがマシや言うくらい青醒めたツラで神妙にテーブルについとった。
ド真ん中のテーブルにはな、最悪のメンツでゾンビ製造の元凶が陣取ってたんや。
誰かなんて聞くまでもないやろ。
同じテーブルに副会長、トノサマ、七条の準で並んで座っとった。
悪い冗談と思うやろ?
それが筋もんの斬った張ったよりタチの悪いオカルト対決やったん。
不思議やったのが、その3化けトリオと向かい合って啓太と遠藤が座っとったこと。 って、なっ、なんや急に興奮してどないしたん!? ハニーの一大事?
やかましいわ!落ち着いて聞かんかい!
話が進まんやないか。
そんでな、啓太も硬いツラしとったし、遠藤はいつもと違うて何だか薄ボンヤリした表情やった。
まぁ悲惨な空気やったけど、これも商売や。
何も考えんようにして食券で手伝い引き受けてくれた陸上部の藤田と台車押してズカズカ入ってくとな、一斉に皆が注目しよった。 やっぱ、お馴染みの一声は忘れへんで。
「まいどアナタのお役立ち、俊ちゃんで〜す!!」
結局、副会長と七条からの差し入れは、俺と藤田で全員にトレー持たせて並ばせてな、給食みたいに皿にに乗せてやった。
面倒やったけど皿は二枚に分けたんや。 副会長と七条の差し入れ、同じ皿に乗せるなと二人から厳命されとったし。 一番先頭に並んだヤツは利口やったわ。
貰って席に戻る前に副会長と七条のとこまで行って、ありがたくご馳走になります言うた。 そしたら全員それに習って礼を言いに行ったんで、副会長も一人一人に鷹揚に挨拶返してはった。
七条もニコニコしながら気持ばかりですけどお口に合うと嬉しいです、とか愛敬ふりまいとる。
これ普通やったら心暖まる場面なんやろうけど、差し入れスポンサーが悪過ぎなんやな。
配り終えても皆シーンとして手をつけへん。
ちなみに啓太と遠藤には俺と藤田がトレーに乗せて給仕してやったん。
啓太は最初、俺らの手伝いしようと立ち上がったんやけど、副会長と七条に主賓は座っとけ言われて恐縮しとった。
スポンサー自身は差し入れいらんのやて。
トノサマはブニャブニャやかましゅう鳴いて副会長に一喝されよって、すわ!乱闘か!?いう空気になったわ。
七条と啓太でトノサマを取り押さえて一応ことなきを得たけど、トノサマもアレはホンマに猫なんか? 鬼や言われとる副会長に喧嘩売るなんてカタギのすることやないやろ。