立海大附属中
□詐欺師の愛し方。
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1ヶ月後
日の当たる教室で、椅子にもたれ掛かりつつ、俺はテニスコートを見ちょった。
見えるは真田、参謀、赤也、丸井…。着替え終わって出てきた様子じゃ。
でも。
「柳生がおらんの」
「当たり前でしょ。アナタがいないと練習出来ないのですよ」
いつの間にいたのか。全く気づかんかった。
教室の扉にもたれ掛かり、こちらの様子を伺っちょる。
そんなに大声で喋ったつもりは無いきに。俺の声を拾いあげちょる姿は可愛くて。
…可愛いコトしすぎじゃ。
「…如何したかの紳士殿」
「アナタから『紳士』という言葉を聞きたくありません」
俺に近づきつつ眼鏡を外す。
「…じゃ、何かの?柳生」
「この1ヶ月。私に何をしたのですか」
「何も」
近づいた顔に思わず噛みつく。
甘噛んだ唇が甘い。
「…何を」
「何も…」
このやり取りの繰り返し。
柳生は悔しそうに唇を噛み締め。
ついに。
堕ちた。