立海大附属中
□詐欺師の愛し方。
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『…柳生、好きじゃ』
『…仁王クン』
『好いとぉよ、嘘じゃなか』
『…………。』
『柳生』
否定も肯定もせず、紳士と呼ばれた男は固まっちょった。
カルチャーショックとでも言うような。
やっと出た一言は。
『…私は女の子じゃありません。ですから想いを受け止めることは出来ないのです』
冷静な口調。
さっきまで固まっちょった奴の台詞とは思えん。
『俺は別に男が好きな訳じゃなか。柳生比呂士が好きなだけじゃ』
そして。
『俺が男じゃなかなら、お前さん付き合っちょったと、捉えても良かとか?』
わざと困らせ。
『私は………』
『好いとぉよ』
罠にかけた。
お前さんが俺を好きになる暗示を。
これが1週間前の話。