立海大附属中
□指とその先。
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音楽室から音が聞こえる。
ピアノの音。
優雅だが、どこか物悲しげな響き。
それでいて甘美。
ゆっくりと流れるそれは、日常を忘れる空間に惑わす。
そっと中を覗くと仁王と柳生。
テニスとはまた違いって見える。
柳生が弾くピアノを聴きつつ、背中を預けるように座っている仁王。
その仁王が。
体を反転させ、柳生のうなじへ唇を落とす。
壊れ物を扱うように、そっと。
柳生は気にする様子もなく、弾き続けてる。
穏やかな笑みを残しながら。
穏やかすぎて魅入ってしまった。