立海大附属中
□好き。
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たまに。
『好き』って言葉を今言いたい、って思っちょる時がある。
タイミング…とゆうか。
しかし伝えたい相手は真剣に読書中。
下手に邪魔しようもんなら、三週間ほど口を利いてくれんのが落ちじゃ(経験談)
…そろそろ退屈なんじゃがな、柳生。
仕方なく目に掛かる前髪で遊ぶ。
「今度は何をお考えですか?」
柳生は、俺が毛先で遊ぶと必ず悪巧みをしちょると思っちょる。
確かに話せて嬉しかが…俺ぞ、一体何と思われちょるか見えすぎて悲しかよ。
「…知りたか?」
それでも敢えて便乗しちょるのは、柳生と話ができよるから。
「えぇ、…是非」
本から目を外さずに言うあたり、まさに『社交辞令』と言いたそうじゃが。
その本を軽く下げ、素早く唇を奪う。
「…好きじゃ、柳生…好きじゃ」
一瞬は呆気に取られとる。
次は怒るかの。無反応で返すか…。いや、頬打ち三回か…。
そんな思考を回しちょったが。