立海大附属中

□詐欺師の愛し方。
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整った顔。

それをさらにシャープに魅せる眼鏡。

薄い唇。

男に「キレイ」っちゅうのは、ありえんと思っちょったが。

コイツなら、アリかもしれん。

その男――柳生比呂士。

『詐欺師の愛した男』

「のぅ柳生」

「珍しいですね、あなたがこんな処に来るなんて」

此処は図書館。

本来なら俺は立ち寄らん場所。

「お前さんの顔が見たくなっての」

「いつも部活で見ているじゃありませんか」

やはりアナタは変わってますね、と真顔で言われても。

実際眼鏡を取れば。

「な、何を…!」

「可愛い台詞を言いんしゃるんなら、眼鏡で隠さず言うてみんしゃい」

ニヤリと笑えば。

案の定赤面して。

「や、やめたまえ」

大声で拒否してみせた。

「柳生…ここは図書館じゃ。静かにしんしゃい」

いつもながらの笑みを浮かべると、柳生は肩を強ばらせた。

…可愛い反応するのぉ。それが困るんじゃが。

「…これで帰るけぇ、柳生も気をつけて帰りんしゃい」

眼鏡を返しても、柳生は俯いたまま。

「じゃあな、紳士殿」

席を立つと同時に言えば、すかさず。

「…私は女の子じゃありません。そのような言葉は不要です」

絞り出した柳生の声に、思わず苦笑しちょった。

「そぉじゃの…」

柳生は男だ。だから好きになる対象は女。そんな固定概念があるんじゃろう。
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