霰の夢水晶

眠る君に贈る言葉
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何事にも真剣で……
いや、真剣じゃないね君は……

一つの事にしか執着出来ないようだ


一つの事……それはテニスだね?
君はテニスにしては慣性が物語たっているのか飲み込みが早い


……そう、今の君にはテニスしかないんだよね?
そんな君を振り向かせてみたい
そう考えるのは僕だけかな?


君の心をテニス以外で惑わす事が出来るのなら……
クスッ、楽しいだろうね?


楽しいだけが僕の生きる道のような気がするから……
可愛い可愛い……小さな君

君を舐めたら甘いわたあめのような感じがする
そう考えるのは僕だけかな……?





「不二〜!!にゃはは、授業も終わったし部活に行こう!!」



ぴょんと菊丸は不二を見付けるとまるで飛び込むようにして抱き着いた

そんな菊丸を受け止めるようにする不二
だが、不二は苦笑して菊丸を見た


菊丸は不二と同じクラスメートだ
部活に行く時にはいつも二人で一緒に行っている



「ごめん、英二……僕はこれから図書室で調べものがあるんだ……手塚や竜崎先生には許可は取ってあるよ」



「えぇ〜、調べ物なんかするのかよー!?!?」



授業も終わり後は部活だけ
此処、青学も部活動では全国を目指して頑張っている
それ以上に……皆テニスが大好きだ

つまらない授業よりは部活をしている方がいい


多分、菊丸はそんな考えだろう
……いや、菊丸以外にもそう考えているのは多そうだが……



だが不二は違った
調べ物、と言うからには授業の何かだろう
部活を一時遅れてまで勉強する不二を菊丸は信じられないのかもしれない



「クスッ、終わったらすぐに行くからさ……ほら、早くしないと遅れるよ?」



「……うんにゃ、分かった待ってるから早く来いよな?」




「うん」



ようやく観念した菊丸
菊丸は不二に指を突き立てるようにして言うと、不二は何の躊躇いもなく頷いた


自分だって本当は調べ物なんかしないで早く部活に行きたい
それが何よりの本音だった
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