マナの雫

〜拍手第二弾〜
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【ジェイド編】


〜紅き追憶〜





「う〜ん……」



「どうかしましたか?真珠」




自分……ジェイドを見て唸るようにしている真珠を見てジェイドは首を傾げていた



真珠は何やら、ジッ……とジェイドを見つめているようだ



「ん〜、前から気になっていたんですよね……ジェイドのその双方の眸」



そう言いながら真珠はジェイドを見た
いや、正確には……ジェイドの目に埋め込まれているかのように紅い眸を……



「あぁ……“譜眼”の事ですか?」



「“譜眼”……?」





ジェイドは真珠が言いたい事の意味が分かったのか頷きながら言う


一人で意味を理解しても真珠には意味が分からない
真珠は首を傾げるようにして聞いた



「この眼に譜術の譜陣を施すのですよ
人体の最大フォンスロットは眼ですからね
そこで私は譜陣を施し……その影響で瞳の色が赤く変化したのですよ」



まるで他人事のようにジェイドは説明する

その時……真珠はゾクッと身体が震えるのを感じた

……恐怖?
いや、そうでない

そんな危険な事を躊躇わずする彼を多少となりとも怖いと思った……
ジェイドが怖いんじゃない……



それを行ったジェイドが怖い……
それは同一人物のはずなのに……何故か違う存在に思えてしまったのだ



「もしかしたら……失明するかもしれなかったんでしょ?
怖くなかったんですか?」



自分なら怖い……
この瞳からジェイドの姿が消えるなんて考えたくなう

それに……ジェイドが私を見れなくなるなんて考えたくなかった



いや、もうジェイドは既に譜眼を施しているのだから……そんな心配は不要なのだが……何故かそんな事ばかりを考えてしまっていた



「……クスッ、そういえば昔似たような事を言われましたね」



苦笑するように笑いジェイドは言う
真珠はジェイドの言葉の意味が分からずに首を傾げていた



「私の他にもいたんですか?」



確認するように真珠は聞く
するとジェイドは頷いて見せた


でも、眼に譜陣を施すなんて普通は考えられない
考えられないし……怖い



この考えは真珠だけなのかもしれないけれど……



「昔……私の恩師だった先生に言われました
この“譜眼”も昔私が子供の時に独自でやったものですから……」



「こ、子供……!?そんなジェイド……怖くなかったの……?」



ジェイドの言葉に驚くように真珠は言う
何でだろう……どうしてこんなに怖いのだろう……


しかも考えたのが子供の時だなんて……



「あっ……」



真珠は思わず声を出し慌てて両手を口にあてた

その意味をジェイドには分かったのだろう


ジェイドはクスッと笑い真珠を見た



真珠は頬を赤くしてから、ゆっくりと今自分が思い出した事を辿った


……そうだった
前にジェイドから聞いたことがある



“この事は誰にも話してはいけませんよ”


ジェイドにそう言われながらも聞いた……
とある理由でルークはもう知っていたようだが……



真珠はジェイドの過去をジェイド自身から聞いたのだ
それを聞いて……真珠は涙を流した



辛く……消せない罪
それを思いながら真珠は泣いた……



その時ジェイドは……
“優しいですね、真珠……どうか私の分まで泣いて下さい”


そう言って真珠を抱きしめた
その時……ジェイドの涙を受け取ったかのように、真珠は泣いた……




その過去に出て来たのがネビリム先生……

今ジェイドが言ったのはネビリム先生の事だろう



「そうだよ、誰だって心配します……私だって……辛いんですから……」



そう言いながら……真珠はもう一度涙を流した
ポロポロ……と汚れなき涙が頬を伝り、雫のように落ちた



心配……それは誰への言葉?
今と昔……限りなく違うこの現実で……縛られているのは誰なのだろう……



「真珠、もう貴方が泣く必要などありませんよ?
貴方は私の為にたくさん泣いてくれたではありませんか……」



そう言ってジェイドは真珠を抱きしめた
あの時と同じ……

ジェイドの過去を聞いてジェイドの代わりに涙を流したあの時と同じ……



真珠はジェイドに抱きしめられながら涙を流した……
この涙の理由は何だろう……


分からないけど溢れてくる……
この感情を真珠は抑えられずにいた……



「お願いします……私が、いるから……
もう、一人で抱え込まない、で……
これ、以上……ジェイドの為に、泣きたくない……」



泣きながら……ジェイドに訴えるように真珠は言う

その言葉の意味は過去との決別……


ジェイドには過去を振り返らずに、前だけを見ていて欲しい


罪でも何でもジェイドにはこれ以上辛い思いはさせたくなかった

ジェイドが辛いを思いをすれば、まるで人形のように……身代わりのように真珠が涙するから……



「私はこれでも決別したつもりなのですがね……ですが今のように、ふと思い出すだけで重みを感じた……
やはり真珠の言うようにまだ時間がいるのですね……」




「だからっ、だから……私がいます、ジェイド……」



自分を振り返るようにてぇ考えるようにジェイドは言う

そんなジェイドを支えるように……真珠はジェイドに縋るようにしながらも……泣いた



恐らく真珠の涙はジェイドの涙だろう


真珠がジェイドの涙を流して……こうも縋っていた……

何やら、不思議な気持ちだった
まるで、真珠に自分の気持ちを押し付けている感じがするのだから……



「……ありがとうございます真珠……
私も私なりに時間をかけて決別します
ですから、私の為に泣かないで下さい……」



小さな雫が零れる……
双方の紅い眸に映される過去の記憶……


……まだ繋がっている
繋がっているから、こんなにも切ない……


切なくて……何にも変えられない思いがここにある



……………………………

ジェイド切な夢でした
ジェイドの過去は自分が犯した過ち

それをただ一人だけで背負っていきた
そんなジェイドの代わりに、為に泣いた真珠…

切な甘を目指して書いて見ました


ジェイドにはジェイド自身の幸せを見つけて欲しいですね

他の誰でもなく…自分の為に…
彼にも幸せになる権利くらいはあると思います
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