ラビリンスの花園

□2+1=3?
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二人とも重なった、とても珍しい連休の一日目を――『整理整頓』に奪われてしまったサスケは…一人残された居間で、苦笑混じりの溜め息でもって迎える事となる。






最初はただのアカデミーでの同期生。後に同じ班のスリーマンセル仲間兼ライバル。
その後は――敵対して。
そんな様々なすったもんだを繰り返し――辿り着いた関係は、何時の間にかの恋人+同居人。
それでも実際…その一番しっくり来る間柄を受け入れたサスケとナルト。
その、自身の恋人であるナルトの手伝いをする為に、自分の用事を済ませたサスケは件の部屋へと向かっていた。
一緒に暮らし始めて…知った事。
ああ見えてナルトは、意外にも家事に才能を持っていた。
基本、片付けというモノが嫌い、苦手なサスケはそれを回避する為に『散らかさない』。
だが『散らかす』ナルトは、片付けが上手い。
それどころか――洗濯や料理なども見事にこなす。余り、そういった事に生来の器用さを発揮出来ないサスケからしてみたら、驚くばかりだ。
ナルト曰わく『一人暮らしだったってばよ?オレ以外に誰もしてくれる相手がいなかったから、出来る様になって当たり前だってば』…そう言って笑ったナルトが。
なんだかとても、心に痛かった事を思い出して。
その暗くなり掛けた思考を振り切る様に、サスケは数度首を振った。
確かにナルトの言葉はとても寂しくて、辛くも感じた事だけど。
今の自分の、この家での生活を思うなら――『良い嫁さん貰った』につきる。
先程までとは打って変わった自身の考えに…苦笑を零して、サスケはナルトが奮闘しているであろう部屋の前に立った。



「ナルト」
そう声を掛けてから、入り口の襖を開く。
その中を見て――思わず、部屋間違えてしまったか?と、確認してしまった。



あれ程、いわゆる『魔窟』状態と化していた部屋だった筈なのに、何時の間にか何年振りに畳が見えて、ちゃんと歩ける通りが出来ている。
雑多に放り込まれていた家財道具達は段ボール箱やビニール袋に詰められて、部屋の片隅にきちんと片付けられ。
その存在すら忘れ去っていた押し入れの中に、布団や使わない座布団類、または着なくなった衣類などが収められ…。
そしてナルトは――山の様だった巻物類を整理している最中だった。



「…すっげっ、お前、ここまでやったのか?」
「あっ、サスケ」
振り返ったナルトは、にこやかに微笑んだ。
「人海戦術ってヤツだってばよ」
その台詞に、ナルトお得意の『多重影分身の術』を思い出す。
「流石に一人じゃ無理だったってばよ。でも、人数さえあれば結構、どうにかなってしまうモンだってば」
確かに――と、感心して。サスケは改めて部屋を見渡した。
「意外と…広かったんだな、ここ」
サスケのその台詞が可笑しかったらしく、ナルトはくつくつ…と、声を立てて笑う。
「問題は…コレだってばよ。この分類はサスケに聞かないと分からないし、数多過ぎるってば。
ここは適当にまとめただけだから――後で時間見付けて整理していかなきゃ、ダメだってばよ」
――それが一番、大変だな…そう、思って。サスケはナルトに気付かれない様、心の中で溜め息を吐いた。
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