小説

□怒涛のI Love you
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ずるずる…とまさしく『引きずら』れて。オレは浴室の脱衣場へと連れ込まれた。
カチャリ…とドアの鍵を掛けたサスケの手から青白い光が漏れて…うっチャクラ流し込んでやがる。オレが逃げ出さない様にかよなんて…奴!
「―さてと」
うわ〜っものスゴイ、にやけたツラ。もう、是非っ!里中の女の子達に見せてやりたいってば!!
こんなん見たら誰だって絶対引くってばよ。オレはじりじり…と後ずさった。けど―悲しいかな風呂の脱衣場など大して広くはない。
直ぐに背中が仕切りのガラス戸にぶつかった。
「もう逃げるスペースは残ってないぞ、ウスラトンカチ」
トンとサスケの手がガラス戸に当てられる。後ろはガラス戸、前は―ニヤけたツラのサスケ。なんだろう…こーゆーのって、四面楚歌?前門のナンたら―とかいうヤツ?
サスケの言葉通り逃げ場を無くして、オレは諦めの極地に陥って―ハァ…と溜め息を付いた。
「う〜っ!風呂入るんだろ、分かったってば!!」
半ばヤケクソで叫ぶ。でもきっと…こういう風な態度取るとサスケの奴…ちらりと伺い見れば。
嗚呼、やっぱり。
更に―ニヤニヤ笑いが深くなっていて。もの凄く楽しそうなコイツ。凶悪なまでに、上機嫌。ああ、
嫌だ。長い付き合いは悲しいまでにサスケの思考を読めてしまうってば。
オレの一カ月分―否、一年分の任務報酬賭けたって良いってばよ。絶対―コイツ、風呂ん中でヤル気だよ
なのに…次にサスケの口から飛び出した言葉は。オレの想像を遥かに飛び越えていた。
「もちろん入るぜ…だから、さっさっと脱げよ?」
つまり―ナンですか?うちはサスケ上忍?このオレにストリップの真似事しろとおっしゃってるんですかってば?今、ここで?
余りの物言いに怒りなんて通り越して、悲しみに至った。そんなオレを誰が責められよう―ってな位に。
「…最、悪っ!」
ぽつりと呟いたオレの言葉に、サスケが心外と言わんばかりの表情を浮かべて、無駄に端正に整っていらっしゃる顔をぐいっと近づけて来た。
「風呂入るのに服は要らねえだろ?それともなにか?俺に脱がせて欲しいって事か?」
謹んでご辞退させて頂きますってばよ!
そんな事されたら―この場でイタされてしまうってば!!
だいたい―男のストリップなんて見て、誰が楽しいんだってばよ…と、ブツブツ、グチグチ文句を言ったら。目の前のコイツはキッパリハッキリと。
「お前の見るのは楽しい。そりゃものすごく」
―と、実も蓋もない事おっしゃった。オレは…心の中でヨロリとその場に倒れそうになる。いやもう実際…その場に倒れ込んでも良かったけど。
ああ、もう止めよう。
コイツに―うちはサスケに『常識』求めてもオレが空しくなるだけだ。うん、きっと。
「…アリガトウゴザイマス」
溜め息をたっぷりまじえてそう言ったオレは―着ていたシャツに手を掛けた。
無遠慮なサスケの視線、突き刺さるエロ光線の様な視線をものすごーく感じながら、シャツを脱ぎ捨ててジーンズも脱いだ。
意を決して下着も取り払って。一糸纏わぬ姿になると、サスケの手をどかしガラス戸を開く。
「―先、入ってるってばよ」
そう宣言して、さっさっと湯船に飛び込んだ。
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