小説

□ハニーなオマエ、ビターチョコなアイツ
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群青色の小さな包み、生成色のふわふわリボン…それがナルトの溜め息で揺れた。昨日の夜から何度も繰り返されている光景。
そして…。
「作っちゃったってばよ」
「どーしよう、コレ」
「渡せる…のかってば、オレ?」
やっぱり何度も繰り返されている台詞。ナルトの深くなった溜め息が―リボンを更に揺らして…。
小さな包みは両の手のひらに収まった。

数種のナッツを粗く砕き、チョコを混ぜた固めのバタークリームを混ぜて、丸く固めた。その上からビターチョコのトリュフでコーティング。お菓子…チョコレートなんて作ったのは、生まれて初めてだったけど、思った以上に上手く出来上がったと思う。
ナルトは皿の上に乗せてあった、ちょっといびつになってしまったトリュフを一つ摘んで、パクッと口に入れた。
柔らかいビターチョコは簡単に溶けて、中のナッツがカリッと歯に当たる。だけど…。
「苦っ…」
甘い物好きな自分には苦過ぎるビターチョコレート。
アイツの為に―選んで、作った、アイツ好みのトリュフ。
そんな考えが頭に浮かんだナルトは、ばぁっと顔色を赤くした。自分の考えが余りにも恥ずかしくって―どうしようもなくて、必死で頭を振ってその考えを否定しようとする。
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