小説

□大好き 4
1ページ/20ページ

シャワーを浴びて…漸く温まった身体。だけど心は…感情はずっと冷えたままだった。サスケの言葉に従って腕を引かれたまま、疼く心と身体のまま、またこの家に戻って来た。
―だけど、この家に居る事は辛い。
サスケの側に居る事が辛い。
何時か…きっとそう遠くは無い未来、今、自分が居る場所を失ってしまう事が分かるから。
すがり付く事など出来無いと、そんな事は絶対無理だとナルトは思っているから。
「辛いってばよ…サスケ」
生まれて初めて―自分の『現実』を悔やんでいた。
自分が女の子だったら。
もう少し楽だった?女の子で同じ狼だったら、今日里で見たあの娘達の様に。
そしたら―。
サスケにキス出来た?サスケにすがり付けた?サスケに「好き」って言えた?
サスケに―抱いて貰えた?
でも自分は―狐で、しかも雄で。こんな事をサスケに対して思っていると知られたら。きっと、間違い無く…。
「気持ち悪いって思われるってば」
分かっているのに、感情や身体はそれを理解してくれない。先刻だって。腕を掴まれただけで、サスケの匂いを感じただけで、あの綺麗な黒の瞳に自分が映ったと思っただけで。
身体を焼く様に熱が上がった。
耐え切れなくて床に
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ