小説

□大好き 3
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自分を前にして、ずっと喋り続けている雌狼に…サスケは心底辟易していた。
お茶が―お気に入りの茶葉を今朝で切らせてしまい、久々に里まで買い物に出て来た。店員に必要な茶葉の種類と重さを告げてから、雑貨店の店内を見渡して見る。
目に付いたのは―様々なフルーツの味を付けたキャンディと、一口サイズのチョコレート。
同時にそういった類の物が大好きな狐の笑顔が思い浮かぶ。『…笑った顔、最近見て無いな』
そう考えて、どっぷり自己嫌悪に陥った。原因は己自身。
あの笑顔が似合う愛らしい狐、ナルトから笑顔を奪っているのは自分だという自覚はある。ひどく下らなく、情けないどーしようもない理由でもって。
はぁ…っと溜め息を付いて、サスケは前髪をかき上げた。もう少しすると『発情期』がやって来る。そしたら今よりもっと…ナルトに近づけなくなってしまう。せめて今くらい―あの笑顔を見ていたい。大切な宝物の様に。自分の傍らで。
物で釣る…というのもどうか?という疑問が無くもないが、少しでもナルトの関心を引く事が出来るならと、キャンディとチョコレートも購入した。茶葉とそれらを入れて貰った紙袋を手にして、家路に向かっている途中で…この雌狼にとっ
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