小説

□大好き 2
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「…ただ今」
パタンとドアの閉まる音。
名残の雪が降り続く中、ようやくナルトが家に戻って来た。ずっと心配でイライラしながらナルトの帰りを待っていたサスケは、ほっと安堵の息を付く。
玄関から真っ直ぐ自分の部屋に行こうとしているナルトに声を掛けたくって…『心配していた』とか『寒くないのか』とか。
でも口を付いたのは。
「こんな雪の降る中、フラフラしてんじゃない!すぐ熱出す癖に、また寝込んで俺に迷惑掛ける気なのか!!」
色んなイライラが一杯になり過ぎて、言ったサスケ自身もびっくりしてしまう様なひどくキツい言葉だった。
ナルトの耳がぴくんっ…と反応し、薄く赤い色に染まっていた瞳が物言いたげにサスケを見つめて来る。
『泣…いていた?』赤い瞳の訳に気付き、互いの間に重い空気が漂う。
「ご…めん。すぐ暖かくして寝るから大丈夫だってばよ」
笑顔を見せてナルトが応える。だけどその笑顔はどう見ても作り物で。
「ナルト…」
「だ、大丈夫だってば!!」
サスケに呼び掛けられても、それを遮る様に突っぱねて。ナルトの身体は自室のドアの中へと消えていった。
頑なに閉じられたドアがまるで―自分を拒絶しているかの様でサスケはそれ以上
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