小説

□大好き 1
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小さかった仔狐は大きくなった。
腰までしかなかった身長も今では肩口に頭が届く位になって、細い手足もすっきりと伸び、子供から大人への変化を表している。でも大きな青の瞳は前のまんま。少し泣き虫なトコロも、自分の名前を呼ぶ甘やかなイントネーションも前のまんまで。

二匹で過ごして…もう一年。

「サスケー!」
バタバタと騒がしく足音を響かせて金色の塊、金色狐のナルトが部屋に飛び込んで来た。何か楽しい事でも見つけたのか、自慢のフサフサ尻尾が大きく揺れている。
そんな様子に苦笑を見せて…額に掛かっていた前髪をかきあげながら『サスケ』と呼ばれた―黒狼は「どうした?」とナルトに声を掛けた。「森の北の奥の方も雪割草が咲き始めたってばよ!やっと全部に春が来たってば」
ふーん…と関心の無い短い返答が返され、サスケの視線は読みかけていた本に戻される。
期待していたリアクションが得られず、ナルトはぶすっと頬を膨らませた。
「何だよ―!サスケは春が嬉しく無いのかってばよ!」
窓辺に腰を下ろしていたサスケの前まで歩いて行き、読んでいた本を取り上げたナルトは問い掛ける。
「お前は何時だって…夏でも秋でも冬でも俺にそうやって報
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