ラビリンスの花園

□2+1=3?
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「掃除…するってばっ!!」
そう――意気込み強く力一杯、ナルトが宣誓してサスケの前に立った。
「そう、じ…?」
だが――その宣誓を向けられたサスケは「なんだ?」と言わんばかりに目を見開いて、畳の上に座っていた自分の目の前に立つ、ナルトを見上げてしまう。
「うん、掃除っ!だんだん、ものスゴい事になって来ているってばよ。あそこ」
ナルトのそんな言葉に――思い当たりが有り過ぎて…サスケは「ああっ、確かに…な」と頷いた。



代々伝わるうちは家秘蔵の秘術指南書や歴史等の…山の様な巻物、書付の類い。それらや、捨てるには忍びないが、今はいらない家財道具類など――。
様々な物達が雑多に押し込められた、いわゆる物置と化した――自分の家の一角に有る十畳程の部屋を思い…サスケは少し溜め息を付いた。



「しかし、あそこの掃除となるとなぁ」
一、二時間で片付くモノとはとても思えない。
ヘタしたら半日…あるいは丸一日掛かり、それ位は覚悟しておかなければならない――大仕事だ。
「だからっ!今日っ!!
休みだから、なんとかしてあそこをどうにかするってばよっ!!この前みたいな事――ごめんだってば」
その言葉に――先日、ナルトの身に降り掛かった災難を、サスケは思い出した。



そのうちは家の『物置』からたった一本の巻物を必要としたナルトは――。
その山を掻き分けて。
だが、しかし…その『山』に辿り着く前に、既に色んな物を乗り越える羽目に陥っていた――ようやく、見つけた目的の物に、心底安堵の吐息を付いた。
「…あった。これだってばよ」
いらない疲労を覚えていたナルトは、見つけた安堵感からか、不用意に。
重なり合っていた山の中から、その巻物をぐいっと引き抜いた。



ゆらり…と。空気が揺れた様に感じたのは――ほんの数秒後。



「へっ?」
なんだ?とナルトが疑問に思う間もなく、雪崩――まさしく雪崩れて来た巻物達。
「うわっ!ぎゃあああっ!ぐえーっ!!」
情け容赦なく、ドサドサと――ナルトの上に落ちて来て、積み上がって行く……それ等。
何百とも知れないそれ等の重さは、かなりの物だ。
たまたまサスケがその時、家に居たのは本当にラッキーな事で――。
もし、そうでなかったら、今頃ナルトはその巻物達の所為で窒息、もしくは圧迫死も有り得た位だった…。



その――ナルトも思い出していたらしい、ものスゴく嫌な恐怖体験を振り払うかのごとく、ぷるぷると頭を振って、改めてサスケへと宣誓する。
「だから、なんとかしなきゃなんないってば!もう少し…せめて、辿り着きやすく、探しやすく、取り出しやすくする為にっ!!」



ナルトのその――頑なな決意表明に、サスケはただ、頷く事しか出来ずにいた。
「俺は今――提出書類作っているから、後でしか手伝えないが…それでも良いか?」
「うん!とにかく、片付けて来るってばよ!」
そう言ったナルトはくるりとサスケに背を向けて――とてとてと廊下を歩いて行った。
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