小説
□片思い
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万事屋の声を無視して歩き続ける。
「ごめんねー。俺、用事思い出したから。」
「え?ちょっとぉー!!」
何悩んでんだよ、俺。
男相手に叶うはずのない恋なんか
しちまって。
馬鹿だな。
そんな事を自分に言い聞かせていると急に腕を引かれた。
「狽ィわッ!?」
「なんで無視すんの?」
腕を掴んでいたのは
万事屋だった。
「うるせぇ!!俺は今見回り中なんだよ!!離せ!!」
精一杯大きな声で怒鳴った。
また、喧嘩腰になっちまった…
「ねぇ…」
「あ?何だよ」
万事屋の顔を見ないように俯いたまま返事をする。
「多串くん、何でそんな
泣きそうな顔してんの?」
「は?」
うわ、最悪…
俺そんな顔してたのか?
「馬鹿か、お前は。んな顔してねぇよ…」
顔を上げることができない。
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