小説
□誕生日
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俺の誕生日が終わるまで、
あと、
5分。
土方は真選組屯所の副長室に居た。
何もせず、ただ、じっと座っていた。
時折ちらっと時計を見遣り、大きくため息をつく。
時計の針が57分を指したころ、
「そろそろ、寝るか…」
と独り言を呟くと、布団を敷き始めた。
本人は無意識だろうが何回もため息をついている。
「…とうとう来なかったんですかィ?」
ニヤニヤしながら沖田が土方の部屋の襖から顔を出した。
「うるせー!!さっさと寝ろ!!」
「あーあー、八つ当たりしちゃって…」
「…何しに来た?」
「いえ、最後に言いたい事がありやしてね…」
「??」
「お誕生日、おめでとうございまさァ…それじゃ、おやすみなせェ。」
沖田はそれだけ言うと、部屋を出て行った。
「…可愛い奴」
クスッと笑い再び布団に手をかける。
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