《エウロパの涙》
あたしは太陽になれなかった貴方の二番目にひっそりと仕えております
エウロパです。
炎をたたえることの出来ない貴方のその哀しみを
その厚く覆われた気体の奥で昏睡する姿を
想い浮かべては幾度の夜もあたしは泣き明かしました。
貴方の消えることのない情熱に
もう決して触れることは無いのだと
見ることさえも許されないのだと
あたしは泣き続けているのです。
貴方と同じかたちに弧を描きながら
涙は海を湛えました。
こぼれたての涙は僅かないのちを育てています。
大昔の涙は凍ってしまいました。
氷の世界に逃れられない貴方の潮汐。
耐え難いその痛みに
あたしの血管は宇宙に浮き出てしまったのです。