★無重力感覚讀物★
November

《クエーサーの孤独》

充填された肺の気体が、全てあの噂のダークマター「ハクアイ」であったのなら
あたしはその膨張に耐えかねて、いつか胸から破裂する。
終りは全空間の始まり。
さあ、放射され続ける強力光線に君は溶けずに耐えられる?

君はいいなり。

最期の姿はちりぢりに。

君はいいなり。

何をしたって終わらない。
悶絶は悦楽境地。
極楽は乗り物に。

君はいいなり。

アチラ側からコチラ側へ激痛をあげる。
青みどろの閃光。
攻撃の手はゆるめない!

君はいいなり。

壊せないなら信じなさい。
きつく縛ったその躯。
ほどき方など解らない。

君の悦びはその程度。

出力のみ可能な装置。
発信のみの機能。
再生だけの現実。

空前絶後!それは絶景。

無限と永遠を行き来する。

届かないものなどない!
掴めないものなどない!

全てを蕩かす中心核に飛込んで気体と化して。

「きっかけなど小さな出来事。ねぇ、本当に覚えていないの…。」

君のいいなり。

まだ気付かないの。
君は異次元。
あたしは隣接してる。

いつだって!

この宙にたったひとつの受信装置。


《クエーサーの孤独》
さいとうみさ

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