リボーン短編3

□Bloody You
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 むせ返りそうな血の臭いの中、私は向かってくる輩を撃ち殺していく。まあ、正しく言えばがむしゃらに走り回って、銃を乱射していく、だけど。

 激しく飛び散る血。

 壁にも、床にも、天井にも、飛び散っている。この部屋の空気にすらこびりついているのではないかとすら思わせる臭いがする。

 まさに血の海という言葉は、この状況を指すためにあるに違いない。


「ヴァリアー風情が……」


 息も絶え絶えに、顔を歪めているそいつ。至近距離で鉛玉を撃ちこめば、誰のものだかわからない血で染め上げられた私の隊服に、新たな血が上塗りされる。

 この部屋に立つのは私だけになった。他はすべて私が殺した。仲間はいなかった。幹部とボスを仕留めるというスクアーロのサポートは、私1人で十分だった。

 息を吐き出し、壁に手をつく。

 ぬるりとした感触。

 私は指に力をこめた。

 吐き気がする。

 息をする度、私の肺腑の奥深くまで入りこむ血の臭い。いっそ呼吸なんて止めてしまいたい。

 女の方が血に慣れてるなんて、大概嘘ね。

 自嘲的な笑みが漏れる。私は全然慣れないわ。むしろスクアーロたちの方がよっぽど慣れてると思うわ。ボスとかレヴィとかベルとか。あの人たちなんて、まったく平気そうじゃない。

 でも、私がこの血生臭い世界に身を置くのには大きなわけがある。こんなにも血が苦手だと言うのに、それすらも超えて私を縛りつけるもの。

 私は銃を握る手に力をこめ、足を前へ動かした。血塗れた壁同様、ぬるりとしている。加えて人が転がっているものだから、歩きにくいことこの上ない。

 それでも歩き続ければ、見えてくる。いつもの銀色。ほっと息が漏れた。

 そう。私を縛りつけるもの。それはスクアーロに他ならない。


「終わったのかぁ?」

「ええ」


 ほら、この姿。白い肌に、白銀の髪に飛び散った赤紅アカ! なんとも形容しがたいこの美しさ!

 ああ、こんなに嫌いなものでも、愛しいあなたが纏えば、それすらも愛しく思えてしまうのね!


「ケガはねえか?」

「大丈夫よ。スクアーロは?」

「オレも大丈夫だぁ」


 少し微笑み、抱きつく。

 抱きついたまま、大きく息を吸う。先ほどまで吐き気を感じていた血の臭いですら、スクアーロから発せられるのなら私の肺を満たしてほしいと思う。

 私と同じく汚れた右手を乱暴に隊服で拭ったスクアーロ。その手で私の頬を優しく撫でる。

 それからそっと唇をなぞる。応えるように首に腕を回せば、それは合図。優しく、乱暴な味をさせながら唇が重なる。

 ああ、血に染まるあなたも、血の味がするあなたとのキスも、私を縛りつけて離さない。






4日遅れのBuon compleanno,Squalo!!
11/03/17

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