リボーン短編3

□sweetener
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 日も傾いてきた午後3時。まだバリバリ仕事中のキャバッローネ邸をボス――ディーノの部屋を目指して歩いていた。彼の部下から預かった書類を抱えて。なんて、ディーノに会いたいがため奪ったに近いけど。

 だって仕事中は邪魔しちゃ悪いからあんまり会えなくて、ディーノ不足になるんだもの。

 軽くノックをして、中に入る。と、めずらしくデスクではなく、その手前のソファーに腰かけていた部屋の主。

 片手に書類、片手に紅茶、そしてその傍らにはケーキののったお皿があった。

 部屋に入ってきたのが私だと気づいたディーノは、ひまわりのように微笑んだ。


「書類、持って来てくれたのか?」


 サンキュー。なんて言われれば、私はもう十分。ここまで重い書類を抱えたかいがあったわ。

 ディーノはそこに置いといてくれ、とデスクを指さした。それからソファーの真ん中から端っこにずれる。それは隣に座ってという合図であり、私はソファーによじ登った。


「いるか?」


 そう言って差し出された飲みかけのカップ。私は小さく頷いて、それを受け取る。ふわりとレモンの甘い香りが鼻を掠めた。コーヒーじゃないなんてめずらしい。

 書類をじっと見つめるディーノをじっと見つめる。

 なんて綺麗な人なんだろう。そんなこと、元々知っていたけど。それでも思ってしまう。綺麗だ。しかも綺麗なだけじゃない。何と言うのか……甘いマスクととはディーノのことを指すに違いない。

 神様って不公平だわ。

 紅茶を口に含む。このおいしい紅茶、全部飲み干してやろうかしら。


「ん? なんだよ?」


 私が袖を引っ張っているのに気づいたディーノ。微笑みながら私の方を向いた。


「あっ! ケーキ、ほしいのか?」


 そしてちょっとズレた答えを出した。

 いや、間違って……ないわ。

 にこにこと楽しそうに笑うディーノを見ていると、なんだか否定するのも気が引けるわ。

 書類を置いて、代わりにケーキのお皿を手に取った。


「ほら、あーん」


 この歳になってあーんだなんて、ちょっと恥ずかしい。けれどこの部屋に2人きりなわけで。私はフォークに向かって口を開けた。

 口に広がったのは甘い甘い味。







Buon Compleanno,Dino!
というわけでお誕生日おめでとうございます、ディーノさん!
間に合ってよかったです^^

11/02/04

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