リボーン短編

□好きなんです、あなたのことが。だからいいですよね?
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「ちょっちょっちょっちょっちょっと待って!!」


 恋人の雰囲気満載のはずのこの状況で、私は色気もへったくれもない声を出した。





好きなんです、あなたのことが。だからいいですよね?






 ちょっと待って。私には今の状況がよく分からないわ! 頭の中、順を追って整理するからちょっと待ってて!

 そういえば、目の前の彼、骸はええ、いいですよ。とお得意の紳士的な微笑みで答えた。

 さて、今はいつ?

 今は学校が終わった夕方。

 どこで?

 父親も母親もいないという少しうれしい状況の家。さらに言えば、その家の私の部屋のベッドの上で。

 誰が?

 私が。

 誰と?

 誰とというより骸に。

 何をした? じゃなくて何をされた?

 押し倒された!

 ってよくよく考えなくても、かなり危険な状況じゃない!


「頭の整理はつきましたか?」


 笑みは崩さぬまま、問いかける骸。整理はついたけど、理解できないわ! というよりしたくない。


「タンマタンマ」


 目の前の胸板をできる限りの力で押す。が、悲しいことに非力な私には骸を押し返すだけの力はなかった。


「もう十分待ちましたよ」


 これ以上待てません。

 そう言って、私の胸に手を添えた。


「おや、ものすごい速さですね」


 心臓。

 当たり前だ!

 叫んでから、強行突破だ! とおでことおでこがごっつんするのを覚悟で、勢いよく起き上がる。その作戦は大成功のようで、おでこがぶつからなかった上に、ベッドの上に座りこむ2人。


「……そんなに嫌ですか?」


 少ししゅんとした様子で尋ねられれば、YESとも言えないじゃない。いや、もともとYESではないけど。


「僕が嫌いですか?」

「そんなわけない!」


 そんなこと、あるわけないじゃない! 骸のことは好きよ。だから付き合ってんだもの。

 それに本当に嫌だったら、もっと本気で抵抗してるわ。


「僕も」


 少し伏目がちに骸は私の手首を掴んだ。それからドサッとベッドに逆戻りした私と骸。


「好きなんです、あなたのことが。だからいいですよね?」


 今度こそNOと言えなくなった私は、頷くしかなかった。




10/12/29


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