リボーン短編
□きみとの出会いは……1
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「ねぇ、マジウザいんだけど」
「消えてくれない?」
ここは校舎裏。ベタすぎて説明するまでもないくらいベタなことが起こっている。私は数人の女子に囲まれて、罵声を浴びせられていた。
慣れって怖い。転校が多い上、なぜだか目をつけられやすいのでこういうことには慣れてしまった。だからなんといわれようと何も感じない。もちろん友達なんかも作らなくなった。
「何とか言えよ!」
平手が顔に向かってきた。よけるのも面倒なので、甘んじて受け入れた。いい音がして私ははたかれた。
言えといったくせに、口を開くと黙れと言う矛盾。何もしてないのに殴られ、蹴られる不公平。はじめは抗っていたけれど、今更抗うものでもない。黙っていれば彼女たちは立ち去っていく。
唇の端が切れたのか、口内に血の味が広がる。
「ふざけんなよ。すかした顔して」
すかした顔なんてしてない。さっき平手をモロに食らったのだ。
今度は蹴りがお腹めがけて飛んできた。クリーンヒット。私はお腹を抱え、地面に膝をつく。
こいつら、本当に女かよ。平手で唇の端が切れるのといい、さっきの蹴りの強さといい……。
ちょうどその時、後ろの窓が開いた。後ろはちょうど応接室になっているらしく、誰かがいるなんてめずらしい。
瞬時に彼女たちの顔が氷りついた。
「ねえ、君たち。何やってるの?」
このしゃべり方は……おそるおそる振り向いてみる。窓からのぞいていたのはやっぱり雲雀恭弥だ。風紀委員長なのに不良の頂点に立ち、最も恐るべき存在。そんな彼がなぜここに?
「僕の前で群れないでくれる?咬み殺すよ」
青白い顔をした彼女たちは、口々に謝罪の言葉を言い、一目散に逃げて行った。
そんな彼女たちを見送った彼は窓から飛び降りてきた。
「ひどいね、これ。彼女たちがやったんでしょう?」
そう言って私の唇の端の血を拭う。
「えっあ、まあ」
「応接室に来なよ」
えっ? 応接室? どうしてっていうか、強制連行ですか?
彼は私の返事を聞かず、軽々と私を肩の上に担いだ。
私は頭の中がこんがらがってきた。えーっとこういうときはどうすればいい?
「あのっ。助けてくれてありがとうございました!!」
とりあえずお礼を言う。
「ああ、別に。目障りだったし。それに僕のお気に入りを傷つけられちゃ困るんだよね」
07/12/12