親友争奪戦
□火の粉浴びたなう。
1ﾍﾟｰｼﾞ/1ﾍﾟｰｼﾞ
ファンクラブ許さん！とか思ってたら、何か私の机の中に手紙が入ってた。ラブレター！？とか思う訳もなく、人気の多い教室で堂々と開けてやった。なんか長々と書かれてるけど、要約すると
「栗原雫から離れろ。でないとお前に不幸が訪れる」
とのこと。何か私が確証を掴む前にあっちからアクションしかけてきてくれちゃったな。なんと親切なこと。とりあえず、このラブレターはビリビリに引き裂いて紙吹雪にさせていただいた。
このラブレターを皮切りに、私に対するイジメらしきものがはじまった。"らしき"と言うのも、私がそれをことごとく回避しているからだ。
野球ボールが私に飛んできたらしいが、丁度靴紐が解けていたので結ぼうと思いしゃがんだら回避できた。代わりに同じクラスの山川くんに当たっていた。
トイレに入った時に上から水をかけられたが、水をかける勢いが足らず、ドアから離れていた私には飛沫程度しかかからず、その殆どが虚しく床に広がった。氷帝のトイレは個室一つ一つが大きいというのに。馬鹿だな。
教科書でも盗もうとしたらしいが、生憎氷帝はお金持ち学校。ロッカーには鍵が設置してある。壊そうとした跡が見られるが、そんなんで壊れるものを氷帝が使うはずないだろ。ちなみに私は机の中には物を入れない派です。
まさかこんなことを雫にまでやってるんじゃないだろうなと怒りつつ。こんなことぐらいで私が雫から離れる訳ないじゃんと思っていた。
ら、何故か雫が私から離れていった。え、なんで？
「雫…？」
「…もう私には構わないで」
と走り去ってしまった。
え…。
その後もいくら話し掛けに行っても、赤ら様に避けられる。どうしよう…かなりショックなんだけど。多分雫にも私と似たような手紙が来たんだろう。私から離れないと私が大変な目に合う、とかなんとか。雫は優しい子だから、私を巻き込まない為にも私から離れたんだ。絶対そうだ！もし違ってただ私が嫌になっただけとかだったら私立ち直れない。
沈んだ気持ちのまま部活に行き、週一の部活だから頑張るか！となんとか気合を入れて、フと窓の外を見て愕然とした。
ここからはテニスコートがよく見えて、雫がマネージャーを始めてからはここからお互いに手を振ったりしていた。
だから今日も部活に勤しむテニス部がよく見える。雫の姿も。私から離れて行った雫は、テニス部の連中と、何でもないように話していた。
そうだ。よく考えたら雫がイジメられる理由はテニス部にある。なのに、その現況であるテニス部ではなく、親友の私から離れて行った。親友の私より上にくるとかいつの間にそんなに仲深めてたんだよ。もしかして親友と思ってたのは私だけ…？うわ、ショック中に更なるショックが……。
雫への哀しさより、テニス部への怒りの方が大きいのは何故だろう。やっぱ三次元のイケメンだからかな。雫の友達だから(認めたくないが)三次元のイケメンでも性格はまぁいいのかなと最近ちょっと、ほんとーにちょっとだけ見直してきた所だったのに。そうよ。元はと言えば、彼奴ら雫に近づくから雫と私の時間が減ったし、雫がイジメられたし、雫が私から離れて行ったのよ！
てゆーか雫が大変だってのに彼奴ら何優雅にテニスなんてしたゃってんの？今回こそは、本気でテニス部ムカつく。
.