1
□恋人達
1ページ/1ページ
◇恋人達◇
デートの帰り道、手をつないで私達は他愛無い会話をしていた。
「昔は、俺もお前ぐらいだったんだよな」
『そうだよね。景吾、私と身長かわんなかったし』
「お前はあの頃のままだな(クス/笑う)」
『もー、人が気にしてる事を…よくも言ったわね!』
頬を膨らます私に、景吾は頭を撫でた。
そして立ち止まり、その手が私の頬を包む。
「確かに、お前はあの頃と同じ身長だけどよ……あの頃よりも綺麗になったぜ」
私の視界には、景吾しか入らなかった。
「俺は……あの頃と何が変わったんだろーな」
『外見』
「それだけかよ」
『中身もね。大人になったんじゃない?』
景吾は私を抱き締め、その大きな腕で包んでくれた。
『…あ、ここも変わったね』
「アン?どこのことだよ」
『景吾の腕の中v前は狭かったけど、今は私がスッポリ入っちゃうよv』
「なんだ、そんなことかよ」
クスクスと、お互い笑った。
《くしゅんっ》
「寒いのか?」
『…ちょっとね』
そう答えると、景吾はコートの中へ、私を入れた。
『暖かい・・・』
暫く、互いの体温を感じあった。
「じゃぁ、帰るか」
『そうだね』
また手をつなぎ、帰路を進む。
離れたくないけど、明日すぐに会えるから……
私は眠る前にこう願う…
“朝日よ、どうか早く昇って”
景吾と1秒でも多く、会いたいから。
+FIN+