Secret Garden  捧げ物と戴き物

□☆ HOLLYNIGHT KISS
7ページ/21ページ

六合の指先が青龍の耳朶から半ばマフラーに隠されている首筋を滑る。それはそのまま何処か焦れたような動きで青龍のコートの前に滑らされた。そのコートの釦が、いやコートそのものが邪魔だと言いたげに積極的で悪戯(イタズラ)な指は熱を持って青龍の素肌を求める。
紺と表すより紺青の青龍のロングコートの前釦を六合の指先はすぐ探り当ててそれを器用に外した。青龍がその下に身に着けているのは銀に近い灰のセーターだけだが六合の指先は其処にまで潜りこんでいく。外気に晒され続けていた冷たい六合の指が素肌に触れると、今度は青龍が熱い吐息を洩らした。
けれど二人ともに、恋人の唇を塞いで独占する事を止めようとはしない。それが呼吸するのと同様の仕草であるような、そうして口付けあっていないと苦しくて息が詰まってしまうとでも言いたげに二人はお互いの唇を恋人だけに許しあい、与えあい、求めあい、奪いあいさえ、した。
そんな欲望奔るKissを躱しながら、探る指先、抱き締めあう腕。
昂ぶっていく Emotion
どうせ 【聖夜】の奇蹟なら、この夜限りの夢の中。貴方を抱いて踊る以外に今夜何が出来る。
「宵藍。」
六合が既に濡れ初めた(そめた)声で青龍を呼ぶ。その冷たいが何よりも情熱を感じさせる指先で、青龍の素肌にミエナイ痕をはっきりと刻みつけながら彼を呼ぶ。それには応えず青龍は、自分の口付けから逃れてしまった愛するひとの甘い唇を追いかけて捕まえた。彼の唇はそうして恋人を捕えたが片手は間断なく動き回り六合の腰と下肢の間を刺激して止まない。
吃度この場にいるどんな恋人達よりも熱くて不埒なKissを与えあいながら二人はお互いの躰をも求めあった。
「外へ行くか、彩輝?」
名残惜し気に恋人の唇を自由にしてやってから青龍が腕の中の彼に囁くように問うた。彼の長い髪をいじりながら。
「天の川、光のミルキーウェイが見られるそうだ。」
「クリスタルのツリーもあるらしいな、そちらも時間によって照明と音楽が変わるらしいぞ。」
抱き合いながらこのショッピングモールのクリスマスデコレーションの〈目玉〉を教えあってしまって二人は一寸だけ ん?と視線を躱し合ったが直ぐに納得したように苦笑した。つまり、お互いがデートコースに気を遣って同じ人物に助言を仰いだ事に気付いたのである。その人物は、多分誰にも秘密の最高の場所で自分の恋人と過ごしているのであろうが。青龍が六合の頬にほつれかかった髪を指先にかけてくるくると弄んだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ