物語

□約束
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「京都から来た藤原彰子さんだ。皆仲良くするように」

あ、きこ?何処かで訊いたことがあるような?…

そんなわけ無いのに。
昌浩は苦笑する。


「そーだな。安部の隣が空いているな」

そこに行ってくれ。と教師は昌浩の隣の席を指差す。


「よろしくね」

隣に来た藤原さんが、笑顔で挨拶してきたので、此方も笑顔で返す。…事は出来なかった。

昌浩。

昌浩だけに聞こえる位小さな声で言った。


何で、俺の名前を…。


「忘れてしまったの?昌浩」

寂しそうな笑顔で、それでも先程より大きな声で、昌浩の名前を読んだ。


――ドクン

不意に心臓が跳ねた。

本能が、魂という部分が告げている。
自分は何か大切な事を忘れている。
思い出さないと悲しむ人が居る。


藤原さんを見て、目を見開いたまま固まっている俺をクラスメイト達は不思議そうに眺めている。

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