物語
□誤解と嫉妬
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「えー。誰だろ?」
うんうんと悩みだす昌浩をよこに、彼の神将に想いをはせる。
「あっ!紅蓮!そうでしょ、勾陣」
しばらく沈黙したあと昌浩は声を上げだ。
一発で想い人を当てられた勾陣は、目を見開いた。
「…なぜ騰蛇、だと?」
「だって勾陣より強いのは紅蓮だけなんでしょ?だから勾陣が心を許せるのは紅蓮位かな、と」
そう思ったんだ。と続ける昌浩に自分の恋には疎いくせにと思うしかない。
「よく、…分かったな」
普段の勾陣と違い歯切れが悪いし、口数も少ない。
「やっぱり!…勾陣の事さ、何時もはカッコイイって思うけど、素直に話す勾陣はかわいいよね」
「そうか、ありがとう」
そう言い、昌浩の頭をポンポンと撫でてやる。
そんな和やかな雰囲気の中に、それをぶち壊すモノが来た。
「あっじい様の文、てか式」
それは勾陣の後ろから飛んできたので、見方によってはそう、昌浩が勾陣にキスしたように見えるのだ。
「晴明は何だって?」
「部屋に来てほしいんだって。だから行って来るね」
そう言い、昌浩は晴明の部屋の方に歩いて行った。
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