図書
□ちぐはぐな思い
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瞼を開けて最初に飛び込んできたのは、知らないはずの面影。
それぞれ安堵の表情を浮かべている。
「何をぼうっとしている。騰蛇」
それが自分にかけられた第一声。
この場に居る者は、少年と少女。それから老人と女性。
誰の名も分からないのに、向こうは俺の事を知っている様だ。
出来るなら伝えたくはない事を訊く。
「…騰蛇、と言うのか?俺は」
その一言に、一番近くにいた少年の表情が凍りついた。
もしかしたら、この少年だけではないかも知れないが確認出来なかった。
「何を戯けた事を言っている」
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