図書
□稀な遭遇
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「しょうがないな」
「勾は何してんだ?」
ここは騰蛇の家の庭で、勾陣が居るのはおかしいのだ。
「雪をな、降らしていた」
「雪?勾が?」
「ああ。仕事だからな」
地を蹴るとふわりと浮き上がる。
「…飛んだ!」
「飛べなくては出来ないからな」
「もう行くの?」
「次の場所に行かなくてはならないからな」
「また会えるかな?」
「雪が降れば会えるさ」
じゃあなと言い残し、勾陣は次の場所へ向かって行った。
それから10年。結局彼女とは会えていない。
だけど雪が降る日は、彼女との約束を思い出す。
窓の外で今日も雪が降っている。
End.