書物
□過去拍手置き場
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『本性』
「せーりゅー!明日学校に迎えに来てね?」
リビングに居た青龍は突然二階から下りてきたかなり笑顔の昌浩に迫られていた。(違う
「…………」
まっ青龍は当然の様にシカト。
「む・か・え・に・来・て・ね?青龍」
笑顔の裏にあるのは真っ黒なオーラ。
「っ!…あ、ああ」
昌浩の顔には断ったらどうなるか分かってるんだろうな?とはっきり書かれている。
以前昌浩はこの顔で晴明を泣かせていた。
◇ ◇ ◇
昌浩は公立中学の中でもかなりレベルの高い所に通っている。
成績優秀、教師生徒からの信頼は校内随一だ。
家での信頼は皆無だったりするのだが…。
「…昌浩や。お前は教師生徒からの信頼は校内一なんだよな?」
「そうだよ。物の怪」
「なら、って物の怪違うわ!」
「ハァ…煩いよ。で?何」
昌浩の背後が若干黒くなってきた。
「あ、あのな?彼処で気の弱そーな生徒がカツアゲされて居るんだが…」
「で?何、俺にどーしろと?」
「た、助けてやらんで良いのか?」
きょどりすぎではないか?物の怪よ。
「良いよ。めんどくさいし」
彼等の横を昌浩が通り過ぎようとしたその時。
「あ、安倍君!」
カツアゲされている方の生徒(仮にA君としよう)、は最早涙声だ。
「(チッ…)ん?どうしたの?」
物の怪には確実に昌浩の舌打ちが聞こえた。だがそれを昌浩に言おうものなら絶対に標的が物の怪に変わってしまうのでそんなバカな事はしない。
「どうしたの?じゃないよ!助けてよ」
「(俺は君の事知らないんだよなー)こらこらそこの君。カツアゲ何てしちゃダメだよ!(棒読み)」
「なんだよ猫がぶり」
プッツーン!
切れた。昌浩の頭の中の何かが確実にすかも派手に切れた。
ボコッ!
昌浩は無言でそいつを殴りつけた。
「猫かぶりで悪いか?てか猫かぶりだよ!つーかてめぇに関係ねぇだろ。そうだよな?早くコイツから取った金返せよ。ホラ」
ちなみに胸の辺りをぐりぐり踏みつけながらの台詞である。
「分かった。…ゴホッ…足、退けろ」
そう言って金を差し出す。
昌浩は金を受け取ってから足を退かした。
足が退かされた瞬間脱兎のごとく逃げ出した。
「あの、安倍君。ありがとう」
自分で頼んでおきながらあまりの迫力にビビり気味だ。
「それで…お金…」
そう、昌浩は金を持ったままなのだ。
「お前まさか俺がタダでやったとでも思ってんの?」
昌浩の背後からはやっぱり真っ黒オーラが出ている。
「…え?」
「これは報酬として貰っておくね」
とっびっきりの笑顔とその生徒(A君)を残し青龍が待っているであろう校門へ向かう。
◇ ◇ ◇
「晴明が知ったら泣くぞ」
青龍の許に着き第一声。
「文句あんの?青龍」
「…あんまり青龍をいじめるな。な、昌浩?」
珍しく青龍をかばった物の怪を睨んでいたが、あることを思い付き肩に乗っていた物の怪を叩き落とした。
「フギャ!(何しやがる!昌浩)」
思った事をすぐに言わない所を見ると物の怪も成長している様だ。昌浩の手によって…。
「このお金で彰子誘ってしてかーえろっ!彰子の学校までよろしくね青龍」
それだけ言うとさっさと青龍の車に乗り込んだ。
おわり