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□想いの果てに
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「勾陣、本当に言わなくて良いんですか?」

それは唐突な問いかけだった。

「何の事だ?」
「騰蛇。──実はかなり人気者なんですよ」

「ほら」と窓の外を天后は指差す。
そこには部活中の男子生徒をキャーキャー言いながら見ている女子(他クラス含む)が居た。
勿論その中心に居るのは言わずも知れた勾陣の幼馴染み、兼片想い中の男子生徒──騰蛇である。

「だがしかし…」

言葉が続かない。
騰蛇は告白してくる女子生徒を「彼女は要らない」とことごとく振っているのだ。
そんな状況で告白なんてしてみろ。
振られて今の立ち位置も無くすのがオチだ。

「でも案外貴女からの告白を待ってるんじゃないかしら」とそこで教室の扉が開いた。

「勾、悪い。待たせたな。帰るぞ」

言うだけ言って歩き出してしまった騰蛇を慌てて追いかける。

「じゃあな、天后。──ちょっ、騰蛇、待て!」

教室を出てすぐの壁に背中を預けている騰蛇が居た。

「置いてくわけないだろ」
「…馬鹿」

何でそうやって期待させるような事をする。


彼に似合う夕日の色が辺りを包む帰り道。
勾陣はそっと決意を固めていた。

「騰蛇」立ち止まって呼び掛ければ、ん?、と実に気の抜ける声で返事をした。

「──好きだ」
「告白するならもう少し照れるとか言い淀むとか…」
「無いな」

一刀両断か。それはそれである意味素晴らしい。

「……返事、訊けるか?」

これはどこか恐る恐るである。

「悪い」

言い淀まなかった勾陣と同様、こちらも言い淀まなかった。

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