物語
□ある日ある時
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「風音。」
腰より長い髪を頭の高い位置で結んでいる。
六合の前を歩いていた風音はその長い髪を揺らしながら振り向く。
「なぁに?彩揮」
「寒くなっているんだから暖かくしろ」
風音は11月もなかばだと云うのに、着ているのは薄い長袖のTシャツに膝より短いスカートだ。
「大丈夫よ、これくらい。出雲の聖域のが寒いわよ」
だから平気。と答える彼女に溜め息を尽きたくなるが、そこはグッと我慢して。
「風音は大丈夫でも、俺が心配だ」
そう言い自分のコートを風音の肩にかけてやる。
「…暖かい」
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