物語
□午後の一時
1ページ/3ページ
午後の授業は眠い。
窓側の席はどうしても眠くなる。
これが教師の目につきにくい後ろの方だと、尚更だ。
目の前で、うっつらうっつら船をこいでいる騰蛇。
青龍に睨まれているが気付く様子は全くない。
少し遊んでやるか。
騰蛇は寒気がしたのか、背中を少し震わせた。
騰蛇はくすぐりに弱い。
これを知っていて勾陣が使わない訳がない。
――スッ
脇の辺りから下に向けて手を滑らせる。
「…ぅ…ん」
くすぐったそうに身をよじる騰蛇の声は、静かな教室では良く聞こえる。
「騰蛇。貴様、俺の授業で寝るとは良い度胸だな」
怒ってはいるが、まだ起こす事はしないようだ。と言うか、しないだろうな。
青龍の授業は沈黙だ。
話すことも注意する事もなく、淡々と黒板に書いていくだけの授業。
それでも、誰も喋らないのは単に青龍が怖いからだ。注意されなくても、一言喋れば睨まれる。それが生徒には怖いのだ。
「青龍、私が起こしてやろうか?」
「勝手にしろ」
青龍は授業を始め、勾陣は前の席にいる騰蛇の許へ行く。
.