物語

□午後の一時
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午後の授業は眠い。

窓側の席はどうしても眠くなる。
これが教師の目につきにくい後ろの方だと、尚更だ。

目の前で、うっつらうっつら船をこいでいる騰蛇。

青龍に睨まれているが気付く様子は全くない。

少し遊んでやるか。

騰蛇は寒気がしたのか、背中を少し震わせた。

騰蛇はくすぐりに弱い。
これを知っていて勾陣が使わない訳がない。

――スッ

脇の辺りから下に向けて手を滑らせる。

「…ぅ…ん」

くすぐったそうに身をよじる騰蛇の声は、静かな教室では良く聞こえる。

「騰蛇。貴様、俺の授業で寝るとは良い度胸だな」

怒ってはいるが、まだ起こす事はしないようだ。と言うか、しないだろうな。

青龍の授業は沈黙だ。
話すことも注意する事もなく、淡々と黒板に書いていくだけの授業。

それでも、誰も喋らないのは単に青龍が怖いからだ。注意されなくても、一言喋れば睨まれる。それが生徒には怖いのだ。

「青龍、私が起こしてやろうか?」
「勝手にしろ」

青龍は授業を始め、勾陣は前の席にいる騰蛇の許へ行く。

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