物語

□幸せの時間(トキ)
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ここ清涼学園には、全生徒に知られているほど有名な二人の生徒が居る。

一人は全校生徒に好かれている女子生徒。もう一人は全校生徒に嫌われる男子生徒。

今日3月14日。俗に言うホワイトデー。この日はバレンタインにチョコを貰った男がお返しをする日。

だが、この人垣に埋もれている生徒、勾陣はこんなに沢山の有象無象共にチョコなど上げていないのだ。
なら何故こんなにも人が集まるのか。それは勾陣の美貌・人柄の良さ。故に集まるのだが。

◇ ◇ ◇

勾陣は気が長い方だ。だが何時までたっても退かない男達にそろそろ我慢の限界である。
勾陣が声を上げようと口を開いた、その時。

「おい」

恐ろしくドスの利いた声が響いた。その声を聞いた途端勾陣に群がっていた有象無象共は一斉に散っていく。

声の主、騰蛇は、この学園一と謳われる不良だ。騰蛇に逆らってはいけない。
これが学園の生徒達の暗黙のルール。――本人にそんな気は無いのだが。

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