書棚
□妬いた相手は彼
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商店街に買い物に来た帰り道。前方に見知った車影を見つけた。
フロントガラスから見える人は、椅子を後ろに倒し、腕と足を組んで目を閉じていた。
勾陣は運転手側の窓を叩いて、己の存在を示した。
ゆっくりと開いた瞳が勾陣を認め、窓を開けた。
「何をしている?青龍」
勾陣は車に乗っている青龍と同じ目線になるように上半身を下げだ。
「別に」
寄越してきた視線は、僅かに疲労の色がみえる。
「今日帰って来るのか?」
「ああ」
そうか。と言う呟きを口の中に仕舞い、助席の方へ移動し、ドアを開けた。
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