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□100万回の口付け
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4月1日。俗に言うエイプリルフールである。
つまり嘘を付いても良い日だ。
嘘を付い側は、どんなに責められようと「気付かないお前が悪い」で突き通せる。
と、自室でカレンダーを見ていた紅蓮は考える。
紅蓮といえば勾陣に唯一遊ばれる相手であり、自惚れるならそれは紅蓮一人だ。

だから、今日くらい彼女を出し抜いてみたいと思っても問題はないだろう。

「騰蛇、居るか?」

扉の向こうから掛けられた声は、今しがた考えていた彼女のものだ。
紅蓮としては、今日の嘘が決まっていないので会いたくなかったのだが、せっかく訪れてくれた彼女を入れないわけにもいかず、入れ。と声を返した。

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