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□春先、君を想い
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「ふぁ〜ぁ」
「おい、騰蛇あくびはするな。成親に見つかったらまた説教だぞ?」
「だってよ、成親の講義って眠いんだよな」
「全く、お前は」
ここは陽陰大学。
幼年から大学まである陽陰学園の大学寮。
成親の講義を受けている騰蛇と朱雀は中学から一緒にいる仲間だ。
「お、そうだった。騰蛇悪いが今日は天貴と一緒に昼飯を食うからな。」
「分かった」
「あと…」
「?」
朱雀は鞄をガサガサと漁る。
「これ、やるわ」
「?映画の券?」
「ああ。どうせ今週の土曜暇だろ?」
「あのなぁ…。んで、どうしたんだ?これ」
「実は久々に天貴とデートをしようとしたんだが、晴明の講義がお互いに入ってな。だから券が残ってたんだ。だから、誰か誘って行け。」
「ありがたく貰っといてやる」
券を朱雀から受けとる。
と同時にチャイムがなる。
「はぁ、終わった…」
「んじゃな騰蛇」
鞄を担いだ朱雀に手を振る。
「ん、ああ。んじゃな」
そのまま朱雀は教室をでた。
「さて、昼飯食いに行くか…」
騰蛇もまた鞄を持ち教室をでた。
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