書棚
□過去の絆
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いわゆる「社長室」という所に、騰蛇と勾陣はいた。
実は彼女、数日前に騰蛇の事を思い出したばかりなのだ。
不安定だった体調も大分安定してきた。
「なぁ勾」
「なんだ騰蛇」
机の上に置かれていたコーヒーに手を伸ばしながら尋ねる。
「お前なんで居なくなったんだ?」
コーヒーの苦味が口腔内を占領する。
「よく分からないんだよ」
◇ ◇ ◇
ある小さな街にまだ住んでいた頃。
いつもの様に三人で道場に向かうはずだった騰蛇と朱雀は、なかなか現れない勾陣を待っていた。
この街の治安は良い方であるが、何があるか分からない。
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