図書

□バレンタインの日
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台所から漂ってくる甘い香り。
それに頬を緩ませながら近づく影。

「ダメです、騰蛇」
「どうした?天后」

両手を広げて、台所の入り口を塞ぐ。

「勾陣に"騰蛇を入れるな"と言われています」
「じゃあ、ちょっと覗くだけ」
「ダメです」
「どうしてもか?」
「どうしてもです」

絶対に譲らない天后に、ガックリと肩を落とし、居間へ戻る。

◇ ◇ ◇

その頃の勾陣。

「なぁ六合。これで良いのか?」
「ああ。次は…」

六合はてきぱきと指示を出していく。

勾陣が作っているのはフォンダンショコラだ。

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