巻物
□直して欲しい事
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それは街中にある風景。
誰もがそれを見、感じるが気に止める事など無いに等しい。
「あのー、ちょっと…」
と声を掛けた所で返る声は無い。
仕方ない。そう上手くいくものでもないしな。
と前方に気になる姿がある。俺がこの場に来たときから既に30分はたっている。その姿はそれより前にそこに在った。
綺麗な黒髪は肩で切り揃えられ、退屈そうに腕を組んでいる女性。突然閉じられていた瞳が此方を見た。
「っ!」
目が合った。それを認識すると同時にその女性が此方に向かって来た。
「何か用か」
声を掛けて来たのは女性の方で、その声は女性にしては低くいがこの人にはぴったりだった。
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