巻物
□呼び名
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「物の怪」
呼ばれた。もうそれは素晴らしい位唐突に。
「…は?」
確かに仮の姿は大変不本意ながら『物の怪のもっくん』と呼ばれている。
呼ばれてはいるが。
「俺は物の怪と違う!勾まで物の怪言うな!」
「なんだ、違うのか?」
それとも。
「姫の前で『騰蛇』と呼ばれたいのか?」
にやりと笑う勾陣にじと目になる。
「…止めてくれ」
その反応にくつくつと笑う声がする。
「ちゃんと呼んでやるよ」
「何をだ?」
勾陣の話し方は大方主語が省かれる。
隣で丸くなる物の怪の真っ白な毛並みをすく。
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