書物
□無自覚な行動
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「勾陣、少し水を汲んで来てくれないか?」
「ん?いいぞ」
暖かいといっても、もう文月下旬。
水も冷たくなって来ている。
水を汲み廊下を歩いていた勾陣はひなたぼっこをしていた物の怪の上に、僅だが水を溢してしまたった。
「ん、…冷たっ!」
「悪い、大丈夫か?」
持っていた手拭いで綺麗に拭いてやる。
「ありがとな。勾」
「ん、気にするな」
◇ ◇ ◇
「晴明、持って来てぞ」
「ああ、ありがとな」
晴明はその水を使い札を書き始めた。
勾陣はその背を眺めていた。
暫くそんな穏やかな時間が続いた。
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